イルカ、恋うた
たく、しょうがないな。


思わず、失笑しながら、電話に出た。


「美月、君はそんなに携帯が好きか?」


『……ねぇ、今日、パパと何を話したの?それから、竜介……変で……』


「俺はいつも通りだよ。それだけか?」


『……』


「美月?」


寡黙な空気が向こうから流れてくる。


門前にも警護。家自体、セキュリティー会社と契約し、万全なはずだ。


「美月?なぁ、大丈夫か?……何か……」


『竜介』と、か細い声がした。


一先ずは安堵した。


『……たい……よ』


「あ、ごめん。聞き取れなかった。平気か、気分でも……」


『……いたい、竜介に会いたいの。声が聞きたいの……!』


嗚咽が響く。


せっかく、安堵してたのに、動揺に胸が締め付けられる。


「声なら聞いているだろ。話を聞くから。何かあったのか?また、検事正とケンカしたの?それとも、桜井検事と何か……」

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