イルカ、恋うた
検事正も今の名誉を守るべき人。


しかも、こんな時に、今更過去を明かすわけない。


ましてや、下っ端刑事に。


携帯が鳴った。


課長の文字が表示される。


嫌な予感に、こめかみからも汗が流れた。


「はい。水島の携帯」


『今日は、あの強盗犯の裁判がある。お前には直接は関係ないが、勉強がてら見学してこい。一度、署に寄ったら、裁判所に向かってくれ』


俺の安堵感は、一気に好奇心に変わった。






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