イルカ、恋うた
「お前、まだあのことを調べてんの?」


「いえ、直接は。知人のライターと伊藤弁護士が連絡をくれるだけです」


岩居さんにまで、しわ寄せが来たんだろうか。


俺は不安になった。


顔に出ていたのか、彼は「いや、心配していることじゃなくて……」と言う。


それから、気まずそうに、「そのライターかなぁ」と呟いた。


「え?」


「ライターだと名乗る男が、佐伯宅に来たんだ。俺は病院から、お嬢さんを送った後で。

そいつは、門前の警護の警官と、何やら話してて。まぁ、帰れと警官の方は言ってたんだが。お嬢さんを見て……」


岩居さんは一旦、黙る。


「ほら、以前お前と一緒にいた奴だよ。俺とお嬢さんと、喫茶店の前で会った……」


嫌な予感がした。


「はい。知人のライターって、その彼のことです」

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