イルカ、恋うた
「まぁ、夢は大きく。検定も頑張ろうぜ」


拳銃操作も自信ないなぁ、と彼がぼやき、俺は微笑で聞いていた。



そして、俺は無事に試験を通過し、卒業を迎える。


実務修習の後、初任総合科教養を受講し、最後の試験も終えた。


警察官と名乗れる資格を得て、最初にK警察署に配属され、交番勤務を命じられた。


よく言えば、学校生活の中で身についた正義感。

あとは教育熱心な上司の手前、犯罪者を何人か逮捕した。


それは、スリやひったくり、自転車泥棒、空き巣の軽犯罪から、通り魔などの重罪、広範囲に。


まぁ、運だと思ってる。


どちらかと言えば、近所に住むお年寄りや子どもと、接している方が楽しかった。


独身寮でも規則は守って、生活してた。


中には、たまにだけど、女を連れこもうとするバカもいたけど、学生時代と同じように、目立たず、真面目に。


学校の寮では、持ち込めなかった生活用品や、衣類関係を引き取りに帰った時、養父母に深々と頭を下げた。


巣立ちの挨拶のつもり。


この時、二人から、予想外なことを聞かされた。


父が、故郷の広島で死んだ。


死因は心筋梗塞で、過労死だった。
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