イルカ、恋うた
急いで、帰ると、美月は岩居さんに支えられるようにして、立ってた。


俺に気付くと、しがみつくように、胸に飛び込んできた。


「じゃあ、俺は署と病院に連絡するから。また、いつもの駐車場な」


と、岩居さんは車に乗り込んだ。


二人きりになってすぐ、「パパ、いけないことしたの?」と、涙声で訊く。


「ライターって人に、変なこと訊かれた。資料、本物の調書がどうのって。昔、パパかその同僚の人が法外なやり方で、もしかしたら無罪の人、起訴したかもしれないって。だから、その調書がいるって」


そして、また尋ねてきた。


「パパ、悪いことした?」


「美月……」


痛々しく湿らす瞳を見て、言葉が出てこない。


ただ、「また、公園行こう」と誘導するだけ。


まるで怯えるように、彼女は腕にしがみつくようして、歩く。


俺は肩を抱き寄せた。


同じ芝生の上に座ってすぐに、美月は改めて訊く。


「竜介は知ってたの?パパが悪いことしたって。やってはいけないことをして、誰か捕まえた?竜介も疑ってたの?パパは何をしたの?」


「美月。まだ、何も分かっちゃいないんだ」

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