イルカ、恋うた
そうだ、こう言った。
これはきっと、検事としてではなく、佐伯氏としての言葉だったんだ。
桜井検事を払ったのも、個人的な気持ちだから。
彼女に今言ったセリフは、間違いなく事実。
「竜介」
「ん?」
「何があっても、パパのこと、大好きだから」
「うん……ああッ」
俺は先ほどの、特別室に入る前の自分の言動……
「どうしたの?」
「……まだ先のことだって、桜井検事に言っちゃったんだよ!絶対、検事正にも聞かれてるし!!」
「え、何が先なの?」
「いや、それはその……実は、君を捜す途中に、検事正のとこ行ったら、結婚の許しでももらいに来たのか、みたいなこと言われて……」
ふーん、と美月は少し笑った。
「先、っていつ?」
「さ、岩居さんが待ってる。行こう」
彼女は立ち上がらない。
「本気で言ったの?」
「美月、行こう」
「答えなきゃ帰んない」
「本気だよ」と言うと、彼女は勢いよく立ち上がる。
だけど、まだ行かないと言う。
「美月!」と叱ると、うつむいた。
そして――
「き、キスしてくれたら……帰る……」
これはきっと、検事としてではなく、佐伯氏としての言葉だったんだ。
桜井検事を払ったのも、個人的な気持ちだから。
彼女に今言ったセリフは、間違いなく事実。
「竜介」
「ん?」
「何があっても、パパのこと、大好きだから」
「うん……ああッ」
俺は先ほどの、特別室に入る前の自分の言動……
「どうしたの?」
「……まだ先のことだって、桜井検事に言っちゃったんだよ!絶対、検事正にも聞かれてるし!!」
「え、何が先なの?」
「いや、それはその……実は、君を捜す途中に、検事正のとこ行ったら、結婚の許しでももらいに来たのか、みたいなこと言われて……」
ふーん、と美月は少し笑った。
「先、っていつ?」
「さ、岩居さんが待ってる。行こう」
彼女は立ち上がらない。
「本気で言ったの?」
「美月、行こう」
「答えなきゃ帰んない」
「本気だよ」と言うと、彼女は勢いよく立ち上がる。
だけど、まだ行かないと言う。
「美月!」と叱ると、うつむいた。
そして――
「き、キスしてくれたら……帰る……」