イルカ、恋うた
それもあって、骨の折れる作業でもなかった。第一、彼らこそ賛同していたのだから。

凶器も銃も、少年の指紋のみ除去し、拘留中に、御崎の部屋に置いた。

あたかも家宅捜査で発見したように、装った。

それから、御崎が首領の指示だと供述したと、首領の自宅、事務所等の家宅捜査令状まで得た。

この時、なぜあっさりと麻薬関係の物的証拠が発見されたか知らない。

しかし、奴を逮捕できたことは、こんな私でも踊り出したいくらいの感激だった。

首領は裁判でも否定することなく、刑に服した。

ちなみに、御崎が三回目の後半で、首領の指示を認めたのは、拘置所で、刑事がこのままでは一生外は拝めない。

今出たとしても、他の組員にどんな目に遭わされるか。弟もどうなるか。警護してやってもいい。

お前が認めなければ、首領が死刑だ、と心理的に追い詰めた。

他にも耳を塞ぎくなるような悪態を、数人で囲ってしたらしい。

当然、弁護士には言うなと。また、それに対しても、脅したらしい。

目撃者については、ホームレスだった彼に、刑事が住処を与えてやる。職も紹介してやる、と。

いくらかまとまった金銭も渡されたみたいだ。
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