イルカ、恋うた
「美月、君は変わらなきゃ。何もかも諦めるんじゃなくて、前に進んでほしいんだ。

夢を叶えるために、必要な変化だってある。
俺やお父さんがいなくても、ちゃんと進んでいけるように…。本当は分かってるんだろう?」


「いや、分かんない……知らない…」


彼女は首を振る。


「美月、大丈夫。君ならやれる」


「竜介は平気なんだ!?一年や二年は絶対に帰れないだよ?事件が解決したって、傍に竜介いないじゃない!!」


自分が足枷になってる。

それを意識すると、胸が痛んだ。


「やっぱり、会わなければよかったのか?このままじゃ、俺達の再会は間違っていた、ってことになるだろう」


「私は何度も言ったわ。会いたかったって!結局、竜介は嫌だったんでしょ!?

ずっと、傍にいるって言ったのも、どうせ子守りのつもりで……本当は、私のことなんてどうでもいいのよ!」


――そうだ。なんなら、嫌われた方がいい。


「……そうだよ。俺、本当はイルカとか絵とか、どうでもよかったんだ。だから、そんなのに依存しないで、さっさと行きたいとこに行けばいい」


それを聞き、美月は立ち上げる。

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