イルカ、恋うた
絵を差し出し、何かを伝えきれなかった少女……


あ、訊いておけばよかった。


でも、案外本人も忘れていたかもしれない。

それくらい、色々ありすぎた。


すっかり目を覚まして、ベッドから降りると、同じ部屋の奴が、「あ、起きたか?ほら」と、水色の封筒を渡してきた。


「……何?」


「岩居刑事から、渡しておいてくれって預かってた」


「ああ、そう。ありがとう」


自分の机に座り、手紙を読もうとしたが、裏返すと、美月 と名前が書かれていた。


それを見ると、一人になりたくて、彼女と過ごした近くの公園に移動した。


出勤に間に合うよう、スーツに着替えて、芝生に着くと、思わず上着を脱ぎそうになる。


苦笑しながら、一人座り、封筒を開けた。


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