イルカ、恋うた
元々、警察学校時代から、成績は悪くなかった。


試験も一応、通過した。


面接も、先輩達にアドバイスを受けながら、何とかこなし、結果はもう祈るだけ。


やる気は見せたし、質問もちゃんと答えた…と思う。



それから、俺はS署の刑事課に勤務が決まる。


そう、合格したのだ。


期待なんて、簡単に裏切られる。


基本的にやることと言ったら、お茶酌みくらいなものだった。


「新人、実際はこんなもんさ」


と、隣のディスクの岩居さんは、広くなった額を撫子ながら、自己紹介の前に言った。


平和は好きだけど、暇はあまり好きじゃない。


まぁ、スーツ姿の刑事に憧れてたから、格好だけでも満足してよ。


ネクタイに触れた。


「……」


親父探す予定だったけど、彼女探してみてもいいかも。


なんてね。

資料整理をしていると、ふと木田を思い出した。


卒業後は疎遠になってしまったけど…


どうしているだろう?


記者になっているなら、再会は職場になるだろうか、と考えてみたりした。
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