イルカ、恋うた
それは、検事正が空港へ向かう日時を突き止めていたんで、途中で待ち伏せをする。

タイヤをパンクさせ、脅かし程度に一発、車の適当な箇所を撃って逃げる、と単純な計画だった。

ヘルメットしたままだから、絶対に面バレしないからと言われ、男は乗った。


だが、実際は、バイクで乗り付けて、パンクさせた後、急に御崎弟が暴走をした。


バイクを降りたかと思うと、歩道側から検事正めがけて撃った。


『たぶん、唖然としてか、すぐには止めれなかった。大方、三発撃ったところでハッとして引っ張り逃げた。なぜ暴走したのか、なんて会話もあったと思う。理由は日記に書いてある』


俺は殺す気だった。

兄ちゃんは、足を洗って女と結婚するはずだったのに、女は逃げた。


あの事件は、証拠はないけど、仕組まれたに決まってる。

あの検事によって。


だけど、自分達が人の道を逸脱していたのは、事実だし…と一度は諦めた。


だが、十三年経って、当時のその検事が、昇進して、検事正になっていることを知り、じわじわと再び怒りが湧いてきた。


そして、可愛い一人娘が、検事と結婚間近と情報を得た。


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