イルカ、恋うた
医師と一緒に、ICUに行くと、二人の夫婦がいた。
彼の養父母だ。
「名前、呼んでやってくれますか?」と、義母が言った。
美月に迷いはなかった。
かつて、父親で経験した部屋に、再び入る。
すぐに涙腺が緩む。
でも、涙は必死で抑える。
ベッドに横たわるのは、最愛の人。
父とは別に、愛する人。
「りゅ……す……」
駄目だった。
我慢した分、涙は溢れる。
針の刺さっている部分を避けて、ゆっくり手を握った。
一方、青年は闇の中にいた。
「あれ?今、何歳だっけ?」
両手を広げると、比較的小さい。
着ているシャツを見た。
サッカーのチーム名が書かれている。下は半ズボンに、小さなシューズ。
「ああ、俺。十二歳だった。学校行かないと…」
周囲を見て、やっと何もないことに気づく。
真っ暗だ。やだ、やだ。怖いよ。
その時、前方が急に光る。
「ん?」
二人の人物が立ってた。
男性の方に、彼は叫んだ。
「父さん!」
――じゃあ、その横は…
写真でしか見たことのない女性。
「母さんだ!」
彼は走りだした。
彼の養父母だ。
「名前、呼んでやってくれますか?」と、義母が言った。
美月に迷いはなかった。
かつて、父親で経験した部屋に、再び入る。
すぐに涙腺が緩む。
でも、涙は必死で抑える。
ベッドに横たわるのは、最愛の人。
父とは別に、愛する人。
「りゅ……す……」
駄目だった。
我慢した分、涙は溢れる。
針の刺さっている部分を避けて、ゆっくり手を握った。
一方、青年は闇の中にいた。
「あれ?今、何歳だっけ?」
両手を広げると、比較的小さい。
着ているシャツを見た。
サッカーのチーム名が書かれている。下は半ズボンに、小さなシューズ。
「ああ、俺。十二歳だった。学校行かないと…」
周囲を見て、やっと何もないことに気づく。
真っ暗だ。やだ、やだ。怖いよ。
その時、前方が急に光る。
「ん?」
二人の人物が立ってた。
男性の方に、彼は叫んだ。
「父さん!」
――じゃあ、その横は…
写真でしか見たことのない女性。
「母さんだ!」
彼は走りだした。