イルカ、恋うた
《3》
もう一つの再会
署に戻るが、課長は無反応で「お疲れさん」と言うだけでだった。
「岩居さん……?」
「助け舟だろ。ああ、それより、お前に伝言だと。ほれ、メモ。木田さんって言う人から、連絡ください、と」
渡されたのは、携帯番号と出版社の名前が書かれている紙だった。
本当にライターになったのか、と驚いた。
でも、やっぱり喜びの方が大きかった。
部長から、デスクに整理を要する資料を山積みにされ、連絡は翌日になった。
メモにあった携帯に電話すると、近くの喫茶店に呼び出された。
古めかしい、レトロなデザインの店だった。
久しぶりの再会に、興奮し合うかと思っていたが、彼は至って平然としていて、こちらも冷静に握手を交しただけ。
「久しぶり。刑事まで行くとは。いや、感服」
と、木田が肩を小突いてきた。
「お前こそ、大手出版のライターだろ。スゲーじゃん。あ、言っておくが、裏情報なんてないぜ」
そう言うと、彼は急に真顔になった。
「いや、ちょっと話しておきたいことがあるんだ。この間の、東京地検、検事正の事件だけどよ」
世間では、過去の事件の逆恨みで、大方腹いせに、勢いだけで襲撃したんだろう、と報道された。
「岩居さん……?」
「助け舟だろ。ああ、それより、お前に伝言だと。ほれ、メモ。木田さんって言う人から、連絡ください、と」
渡されたのは、携帯番号と出版社の名前が書かれている紙だった。
本当にライターになったのか、と驚いた。
でも、やっぱり喜びの方が大きかった。
部長から、デスクに整理を要する資料を山積みにされ、連絡は翌日になった。
メモにあった携帯に電話すると、近くの喫茶店に呼び出された。
古めかしい、レトロなデザインの店だった。
久しぶりの再会に、興奮し合うかと思っていたが、彼は至って平然としていて、こちらも冷静に握手を交しただけ。
「久しぶり。刑事まで行くとは。いや、感服」
と、木田が肩を小突いてきた。
「お前こそ、大手出版のライターだろ。スゲーじゃん。あ、言っておくが、裏情報なんてないぜ」
そう言うと、彼は急に真顔になった。
「いや、ちょっと話しておきたいことがあるんだ。この間の、東京地検、検事正の事件だけどよ」
世間では、過去の事件の逆恨みで、大方腹いせに、勢いだけで襲撃したんだろう、と報道された。