イルカ、恋うた
「いいか。余計なことに首を突っ込むな。本庁はうるさいぞ。それにもう調べているさ。

もし、調査してなかったとしても、俺達がするなんて、どのみちいい顔されないぜ。目をつけられたら、厄介だ。

どこで、こんな事件に興味を持ったか知らんが、忘れろ。俺達は指示された身辺警護さえしてればいいんだ。

検事正担当になった奴らなんか、病院で大人しく過ごしてんだぜ」


なぁ、と肩を叩かれ、納得を促された。


推薦してくれた署長を思い出した。


そうだな。仇を返すような真似はやめよう。


パソコンを閉じた。


「それより、お嬢さんはどうなった?」


岩居さんはデスクに、コーヒーを置いてくれた。


「無事に送り届けました。桜井検事がいましたから、大丈夫ですよ」


「そりゃ、お前が大丈夫じゃないな」


「岩居さん、勘弁してくださいよ。彼女とのことには、もう触れないでください」


お願いします、とまで言い、頭を下げた。


それから、コーヒーを一気に飲み干した。


「ところで、何をそんな急いでいたんですか?」


「別の事件の報告書、紛失したまま逃げてたんだよねぇ。課長にバレちゃって…」


彼は「あはは」と、後頭部をかいた。


やっぱり、一生平だな。
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