イルカ、恋うた
《4》

弁護士

「……おい。竜介!ぼーっとすんな!」


木田が、眉間を強めに突いた。


「ああ、ごめん…」


「これから、大事な話するんだぜ。弁護士から聞いた情報だけど…」


「うん」


力なく頷いたが、木田は構わず続けた。


「前に話したヤクザな。俺はやってない。そんな警官知らない、って言い張ってたそうだ。まぁ、弁護士がよく耳にする言葉だよな。

俺が思うに、ヤクザってのは、ハッタリかましてでも、罪を認める場合も強気というか、威勢がいいもんじゃないか。

それを事務所と首領の自宅が家宅捜査される、と知った途端、泣く寸前で 違うって叫んだらしい」


「まぁ、上司を守るのが部下だろ。忠実な奴だったんだな。でも、最終的に認めたんだろ。やっぱり、何もないよ」


と、俺は適当に答えた。


「……お前、やる気ねぇのな。身辺警護を外されたの。そんなにショックなのか?その分、別の殺人事件とか少しくらい参加させてもらえるんじゃない?刑事らしいだろ?そっちの方が…」


病院での出来事から数日後、担当を外された。


岩居さんと別の刑事がしている。


課長からは、桜井検事からの申し出としか聞いてない。


桜井検事も詳細は言わなかっただろう。


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