イルカ、恋うた
キス
後日、木田から連絡があり、どんな話をしたのか、自分と同じ内容だったか等、訊いてきた。
彼は、捏造を信じていた。どうにか調査する、と意気込んでいた。
法外なことを、正義の側に立つ人間がするとは、信じたくないけど……。
相手はヤクザ。
表向きがごく普通の輸送業だったので、警察もなかなか立ち入れないでいた。
しかも、慎重で周到な性質。
やっぱり、木田が考えているようなことがあったんじゃないか、と思い始めていた。
「……だけど」
佐伯検事正は頭が切れる、と聞いている。
警察が作りあげたシナリオにまんまと引っかかるとは、とても思えない。
でも、結果として、手を焼いてた組織は壊滅。
……いいじゃん。
正義が勝ったんだ。それでいいよなぁ。
俺は今度こそ、忘れようと決めた。
机の上の資料を片し、立ち上がった時だった。
「おう、竜介。今日、病院へ行ったんだが、佐伯検事正が意識を取り戻したぞ」
岩居さんが嬉しそうに、駆け寄ってきた。
「そうなんだ。よかったぁ」
「まぁ。よかったんだが……」
彼は急に、顔を曇らせた。
「……何かあったんですか?」
彼は、捏造を信じていた。どうにか調査する、と意気込んでいた。
法外なことを、正義の側に立つ人間がするとは、信じたくないけど……。
相手はヤクザ。
表向きがごく普通の輸送業だったので、警察もなかなか立ち入れないでいた。
しかも、慎重で周到な性質。
やっぱり、木田が考えているようなことがあったんじゃないか、と思い始めていた。
「……だけど」
佐伯検事正は頭が切れる、と聞いている。
警察が作りあげたシナリオにまんまと引っかかるとは、とても思えない。
でも、結果として、手を焼いてた組織は壊滅。
……いいじゃん。
正義が勝ったんだ。それでいいよなぁ。
俺は今度こそ、忘れようと決めた。
机の上の資料を片し、立ち上がった時だった。
「おう、竜介。今日、病院へ行ったんだが、佐伯検事正が意識を取り戻したぞ」
岩居さんが嬉しそうに、駆け寄ってきた。
「そうなんだ。よかったぁ」
「まぁ。よかったんだが……」
彼は急に、顔を曇らせた。
「……何かあったんですか?」