イルカ、恋うた
「午後から話せるようになって、娘と桜井検事とそれぞれ会話してたんだ」


その時、関係者は離れた。


しばらくして、桜井検事だけが出てきて、美月と二人きりになった。


どうやら、ケンカになっちゃったらしい。

彼女は泣きながら、病室から出てきた。

検事は興奮気味で、鎮静剤で眠ったとのこと。


「桜井検事が何か言ったんじゃないか?彼が出てきた後のことだし…。部外者の俺は、余計なこと訊けないし。お前、会ってみたら?」


俺は、「自分も部外者です」と返した。


しかし……


「悪いが、今日はお前が岩居と組んでくれ」


突然、課長にそう命じられた。


「なぜですか?桜井検事が……」


「ああ、いいから。いいから。とにかく、今日はお前が行ってくれ」


なんでだ?

何かが変だ……。


「岩居さん。何か知ってます?」


買い物とお見舞いに行くという、美月を迎えにいく途中、尋ねてみた。


彼は、「へあ?」と抜けたような声を出した。


知らないな、こりゃ。


「ってか、運転代わりますよ。眠いじゃないんですか?」


「大丈夫だよ。お前の方が運転できんのかぁ」


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