イルカ、恋うた
美月はポニーテールを縛り直し、気合い十分だった。
それを見てると、自分も「よし」と気合いを入れ、紙の前で構えた。
さっさと、素描する彼女の横で、俺も鉛筆を走らせた。
下書きが済むと、上から黒ペンでなぞり、塗り絵方式で、色鉛筆で色を付けた。
二人の間に距離はなく、たまに肩や手の甲が接触した。
大人びた彼女の方が、意外と照れたりした。
イルカは動きまわる。
これが人間の命令を聞くんだよなぁ、とオヤジみたいに感心してた。
二頭は、時折目を合わせる。
ただのコミュニケーションだと思ったけど、美月は、
「ほら、恋人よ」
と言い張る。
「違うって」
そう言いながら、彼女が描いたのはメスで、竜介が描いたのはオスだった。
美月が頭にリボンを描いたので、とっさにネクタイを付けたのだ。
後片付けしながら、彼女は訊いた。
「なんで、ネクタイ?」
「だって、男のシンボルじゃん。君のパパだってつけるだろ?」
確かにつけていた。
間もなく、美月の名を呼びながら、男性が駆けてきた。
それを見てると、自分も「よし」と気合いを入れ、紙の前で構えた。
さっさと、素描する彼女の横で、俺も鉛筆を走らせた。
下書きが済むと、上から黒ペンでなぞり、塗り絵方式で、色鉛筆で色を付けた。
二人の間に距離はなく、たまに肩や手の甲が接触した。
大人びた彼女の方が、意外と照れたりした。
イルカは動きまわる。
これが人間の命令を聞くんだよなぁ、とオヤジみたいに感心してた。
二頭は、時折目を合わせる。
ただのコミュニケーションだと思ったけど、美月は、
「ほら、恋人よ」
と言い張る。
「違うって」
そう言いながら、彼女が描いたのはメスで、竜介が描いたのはオスだった。
美月が頭にリボンを描いたので、とっさにネクタイを付けたのだ。
後片付けしながら、彼女は訊いた。
「なんで、ネクタイ?」
「だって、男のシンボルじゃん。君のパパだってつけるだろ?」
確かにつけていた。
間もなく、美月の名を呼びながら、男性が駆けてきた。