イルカ、恋うた
しかし、届かない。
美月が首に腕をまわし、しがみついたまま、離れないから…
「あの、美月……」
「せっかく……初めての…お姫様だっこ……」
どうやら、すぐに下ろしたのが気に入らないらしい。
「しょうがないでしょ。休まなきゃ…」
「寝たら、一人ぼっち」
「夕方には家政婦さんが来るだろ」
「やだ。竜介、ここにいて……」
まるで、子どもだった。
離そうとした時、上着が落ちる。
裂かれてたシャツを、押さえてた美月の手も、今はないので、開いた状態だった。
彼女もそれに気づき、再び押さえながら、真っ赤になる。
「出てるから、着替えなよ」
腕から解放されて、俺は立ち上がった。
「帰らないで!」
「……ドアの外にいますから」
外に出ると、ドアを閉め、その前に立ってた。
まずいな。
岩居さん戻って来ないな…
携帯を出そうとしたが……
あ、上着の内ポケットだ。
どたばたと音がして、ドアが開く。
美月が顔を出し、俺がいるのを確認すると、ホッとしたように、穏やかに笑った。
その瞬間、トクンと確かに、胸が鳴った。
自分の―…
美月が首に腕をまわし、しがみついたまま、離れないから…
「あの、美月……」
「せっかく……初めての…お姫様だっこ……」
どうやら、すぐに下ろしたのが気に入らないらしい。
「しょうがないでしょ。休まなきゃ…」
「寝たら、一人ぼっち」
「夕方には家政婦さんが来るだろ」
「やだ。竜介、ここにいて……」
まるで、子どもだった。
離そうとした時、上着が落ちる。
裂かれてたシャツを、押さえてた美月の手も、今はないので、開いた状態だった。
彼女もそれに気づき、再び押さえながら、真っ赤になる。
「出てるから、着替えなよ」
腕から解放されて、俺は立ち上がった。
「帰らないで!」
「……ドアの外にいますから」
外に出ると、ドアを閉め、その前に立ってた。
まずいな。
岩居さん戻って来ないな…
携帯を出そうとしたが……
あ、上着の内ポケットだ。
どたばたと音がして、ドアが開く。
美月が顔を出し、俺がいるのを確認すると、ホッとしたように、穏やかに笑った。
その瞬間、トクンと確かに、胸が鳴った。
自分の―…