君のいない場所で私はどうしてると思う?
第3章 消えないで

#4 それを知った日から

そこに書いてあったのは


“胃がん”



とはっきり黒い文字で書いてある。

がんになった人は助かる確率が低いって良く聞くから

それを思うと涙が止まらない。

どんどん溢れてあっという間にスカートは濡れる。



ねぇ、なんで?

まだ好きになったばかりだよ?

速くない?

好きになったばかりで、まだ君のこと知らないことだってある。

だからもっと知りたかった。

これから聞こうと思ってたこといっぱいあるよ。









それからは眠れない夜が続く。

LINEの返信も前より遅くしてる。

だって、返信してしまえば時間はあっという間に過ぎてしまうから。

君からの返信ははやいからついつい楽しんでしまうから。

まだ君と同じ世界にいたいから。

斎藤から最後に来た返信には一言だけ


“余命1年半ももたない”
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