君のいない場所で私はどうしてると思う?
第6章 弘大の過去

#7 ほんとのことが知りたいよ

ガラガラ


「弘大?大丈夫?」

「お母さん、、うん、大丈夫」


えっ?!お母さんって言った?!

え?待って?めっちゃ若く見える。

しかも顔も斎藤と似ていて、特に目が似てる。


「あら?その子は?」

「あっ…弘大くんと同じクラスメートの木下妃奈です。」

「あら、すごく礼儀正しい子ね!」

「いえいえ、これくらい当然のことです」

「ごめんね、心配かけちゃって。」

「この子昔から体が弱くて。」

「生まれたばかりの時も先生がこの子はもしかしたら10ヶ月ももたないかもしれないって。」

「それで、いろんな手を使って一生懸命生きる道を探して奇跡が起きたのよ」


私はこの話を聞いてるだけで斎藤に変わって私が癌になってあげたいと思った。


「そう…なんですね」

「けどこの子は体は弱くても気は女の子以外には強いから大丈夫よ、また奇跡が起こるはずね」

「はい、その奇跡信じましょ!」

「ふふっ、ひなちゃんって元気な子なのねっ」

「そんなことは…ないとおもいます」

「そう?」

「なんかさ、俺のこと忘れてない?」


あ、忘れてた。

完全に忘れてた。

私とお母さんは顔を見合わせてクスッと笑う。


「なーんにも面白くないけど。」

「まぁ、弘大学校でもなんとかやっていけてるみたいね。」

「こーんな可愛い子となかよくなっちゃって。」

「そ、そ、そんなことないです!」

「ふふっ、これからも弘大のことよろしくね」

「は、はい!」


斎藤のお母さんの笑顔はどこか耀いていて

斎藤にそっくりだった。


「あ、ひなちゃん、弘大になにか合った時用に連絡先交換しないかしら?」

「あ、全然良いですよ!」

「ありがとね」



「よし、これでOK。じゃ、弘大また来るからね」

「うん」

「ひなちゃんも、帰るとき気をつけて帰るのよ?またね」

「はい!ありがとうございます!」


あーあ、良いな

あんなに奇麗で優しい母親いるなんて。

斎藤相当幸せ者だな。


「お母さん、要らないことまで話してたね」

「そんなことないよ、私もいろいろ斎藤のことしりたいって思ってたし」

「俺のこと知ってもなんも良いことないよ。」


そんなことない。

むしろ聞けるだけレアだから。


「もし手術成功したら木下に言いたいことあるんだ」


ねぇ。

その言葉期待して良いの?
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