恋のメロディー



お金を入れて…カイロと温かい飲み物ですって差し出して…いつもの定位置に戻る…。そんなシミュレーションを繰り返した私は落ち着かせるために一呼吸してから先輩たちの元へ向かった。


ギターケースの前でしゃがみ込み、握り締めていた500円玉を入れて、あぐらをかく先輩の足元にそっとカイロと温かい飲み物が入ったレジ袋を置いた。


「カイロと温かい飲み物です…」


うわぁー、声小さいよ!バカっ!!


「ありがとう!」


緊張で俯かせていた顔を上げると先輩の満面の笑みが目の前に。ドキッと胸が高鳴り顔が一気に熱くなるのを感じた私はすぐに背を向けて帰ろうとしたそのとき。



< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop