恋のメロディー
「ねぇ!」
えっ!!なに!?
怖さからか恥ずかしさからなのか、私は何も返せず顔を少しだけ向けた。
そんな不自然な私を気にもせず先輩は喋り続けた。
「いつも聴きに来てくれてるよね?本当にありがとう!」
恥ずかしげに笑みを浮かべる先輩に私の胸はドキドキしっぱなし。なんて答えたらいいか分からずにいると先輩が口を開いた。
「風邪に気をつけてね!まあお互いにだけど」
「はい…」
気の利いたことも言えずに私は逃げるように先輩から見えないところへ行って、人目もはばからずにしゃがみ込んだ。
び、びっくりした…。私のこと覚えてくれてたんだ…。
最初は先輩と会話を交せたと喜んでいたが頭が冷静になっていくと自分の失態に頭を抱えた。
全然会話になってないじゃん!もっと気の利いたこと言えないのかよ!私のバカ!!
立ち直れそうになかったが私は自分の気持ちを奮い立たせていつもの定位置へ戻った。