手編みって重い?私の不安と彼の苦悩〜マフラーの正しい使い方〜【優秀作品】
クリスマス
 受付係として入社してから半年ほど経った頃、いつも訪れる取引先の早川翔太郎(はやかわ しょうたろう)さん……翔ちゃんに告白されて付き合うことになった。

 翔ちゃんは、色が抜けるように白くて、お肌もすべすべで、顔だけ一見すると女の子みたい。

ファンデーションなしであのお肌はすごく羨ましい。

ま、身長が高いから、実際には女の子には見えないんだけどね。



 私は、そんな翔ちゃんに、初めてのクリスマスプレゼントは何にしようかと悩んでいた。

そうだ! マフラーにしよう!

編み物なんてしたことないけど、手編みってなんとなく憧れる。

マフラーなら、まっすぐだし、あとひと月あるし、ちょっと練習すれば、なんとかなるんじゃない?

そう思って、私は毛糸を買った。

どんな服装にも合わせやすいように、ダークグレーのウール100%の毛糸。

一緒に編み棒も買った。

 早速、店員さんに教わった通りに編んでいく。

 初めは順調に思えた編み物だけど、ふとした拍子に編み棒が抜け落ちてしまい、戻せなくなって初めから編み直したり、順調に編み進めてご機嫌でいたのに、途中でひと目落としていることに気付いて、30㎝解いたりと、なかなか順調には進まない。

 だけど、幸い、受付にはほとんど残業もないし、毎日、コツコツと編み進めた結果、なんとかクリスマスには間に合わせることができた。

 丁寧にラッピングして、24日のクリスマスデートを迎える。

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