溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~【番外編】
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京都でプロポーズを受けた後、お互いの両親に挨拶を済ませると、ふたりでエンゲージリングを選びに行った。
銀座のブランドジュエリーショップに足を踏み入れ、らせん階段を上って二階のブライダルコーナーに向かう。
店内の照明があたり、ショーケースの中の指輪がまぶしい光を放っている。
すごく綺麗……。
うっとりしながら指輪を見つめた。
「これなんか、菜々子に似合うと思うけど」
「素敵……」
拓海さんが指差す大きなセンターダイヤモンドが目を引く指輪を見て、感嘆のため息を漏らした。けれど指輪の脇に並ぶプライスタグに気づき、息を呑む。
こんな高価な指輪は、私には贅沢すぎる……。
「気に入らない?」
拓海さんが、急に黙り込んだ私を心配するように見つめた。
にこやかな笑みを浮かべる店員さんの前で、値段のことは言いづらい。
「そうじゃなくて……」
言いよどむ私を見て、拓海さんがクスッと笑った。
「すみません。その指輪とこっちのと、それからそっちのも見せてください」
「かしこまりました」
口を挟む間もなく、店員さんにすばやく依頼する様子を見て唖然としてしまった。
「一生に一度のことだ。いいものを選ぼう」
耳もとで優しくささやかれる。
「ありがとう」
値段を気にしていると、すぐに感づいてくれた拓海さんにお礼を伝えた。
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