俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「その前にある存在として、晃が悲しい思いをしたらそれは友達が悲しんでいるから、ってなる。『美結だから』っていう理由で感情が動くのは、以前は俺には美結だけだった」
「……いや、美結が複数人いたらややこしいだろ」
「そうじゃなくて、その人だから、が理由になるのは、俺には美結だけだったってこと。友達だからとか、友達の大事な人だから、とか、俺の場合は美結以外の全部の人に理由がついてまわってた」
「……それがどうした?」
「それが俺の、唯一の特別だったってこと」
唯一……特別……。
「……わかんねー……」
わからな過ぎて、テーブルに額を押し付ける。
「だろうなあ。お前、羽咲の兄になる、とか本気で言ってたもんな」
「……いつ?」
「羽咲や由羽がうちに泊まってた頃」
「………あのときそんなこと言ってた?」
「言ってたよ。みんなそれどころじゃなかったから、憶えてないかもしれないけど」
「………」
「それより総真、なんか降りて来るの早くなかったか?」