俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
『……どこ?』
『俺や羽咲や、父さんや母さんや、咲羽のことを知ってるみんなの中に』
由羽は優しい声でそう言って、うーの背中をさすった。
『咲羽は羽咲のことも、ずっと見てるよ。羽咲のそばにいるよ。羽咲はお姉ちゃんになったんだから、絶対に咲羽のこと忘れちゃだめだ。忘れたら……本当に咲羽は、どこにもいなくなっちゃう』
『わっ、わすれない……っ』
『うん。今母さんと父さんは、咲羽がずーっと幸せな場所にいる準備をしてるから、俺と羽咲は、父さんと母さんが帰って来たとき、おかえりって大きな声で言えるようになるんだ』
『い、いう……っ』
『よしよし。もう眠いだろ? 総真もいてくれるから、安心して寝ていいよ』
『……うん………』
うーの声はだんだんぼやけていって、すぐに寝息が聞こえて来た。
このとき僕は、ひたすら由羽がすごいと思った。
……由羽は、兄なんだ、って。
『由羽』