俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「おか――」
「羽咲。父さん、羽咲と水くんで来るわ。ここ上の方だから時間かかるかもしんねーけど」
「頼む」
「行くぞ」
「……うん」
お兄ちゃんが水桶を持って先を歩き出した。
私も慌ててお兄ちゃんについていく。
お墓はお寺の裏手の丘にあって、段々になっている。
緩やかな幅広の階段を下りていく途中で少しだけ振り返ると、両手で顔を覆ったお母さんと、その肩を抱きしめるお父さんが見えた。
「……お兄ちゃん」
「なんだ」
「お母さん……」
「父さんに任せるのは一番だって、お前もわかるだろ」
「……うん」
……咲羽ちゃんに一番逢いたいのは、絶対にお母さんだ。
「つーか、父さん以外にどうしようもねえだろ」
「うん……」
「ありがとな」
急に、お兄ちゃんが空いている方の手で私の頭を撫でて来た。