俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】

「おか――」

「羽咲。父さん、羽咲と水くんで来るわ。ここ上の方だから時間かかるかもしんねーけど」

「頼む」

「行くぞ」

「……うん」

お兄ちゃんが水桶を持って先を歩き出した。

私も慌ててお兄ちゃんについていく。

お墓はお寺の裏手の丘にあって、段々になっている。

緩やかな幅広の階段を下りていく途中で少しだけ振り返ると、両手で顔を覆ったお母さんと、その肩を抱きしめるお父さんが見えた。

「……お兄ちゃん」

「なんだ」

「お母さん……」

「父さんに任せるのは一番だって、お前もわかるだろ」

「……うん」

……咲羽ちゃんに一番逢いたいのは、絶対にお母さんだ。

「つーか、父さん以外にどうしようもねえだろ」

「うん……」

「ありがとな」

急に、お兄ちゃんが空いている方の手で私の頭を撫でて来た。

< 153 / 369 >

この作品をシェア

pagetop