俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「うちの空気が落ちそうになると、お前がわざと騒いで明るくしてくれてるの、父さんも母さんもわかってる」
そう言うと、お兄ちゃんはスタスタと歩いていく。
……別に、そんなんじゃない。ただ私が、重い空気に耐えられないだけだよ……。
と言うか、お兄ちゃんも私に付き合って騒いでくれてるし……。
「あーあ。今の、総真くんがしてくれたらときめくのになあ」
「兄貴相手にキモいこと言ってんじゃねえよ。……そういやあいつ最近よくうちに顔出すけど、今日は? 総真のことだから俺らがこっち来てるって知らないで待ちぼうけしてそう……」
あ。お兄ちゃんには告白したこととその返事、教えてないんだった。
お父さんは知ってるかもだけど……。
「咲羽ちゃんに逢いに来てるって話してあるよ。実は、今日はどこか――」
「お、王子⁉」
――なんて、すっとんきょうな声が聞こえて来た。
そして私は、そう呼ばれている人を二人も知っている……。
「坂野……だからそれやめて」