俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「こちらこそです。兄が面倒ばかりかけていると思いますが……」
「王子のは見てて楽しいから面倒なんかじゃないよ。じゃ、私そろそろ戻るね。羽咲ちゃん、司くん、またー」
「はい」
千波さんに手を振って、本堂の方へ見送る。
「ふふふ……」
「なにヘンな笑いしてんだ」
「お兄ちゃんを追いつめられる逸材と仲良くなった……みたいな」
「アホなこと言ってないでそろそろ水汲んで戻るぞ」
「はーい」
咲羽ちゃんのところに戻ると、お母さんとお父さんを柔らかい風が包んで走り抜けた。
……咲羽ちゃん……?
「お待たせー」
私が呼びかけると、二人が振り向いた。
お母さんはもう、泣いていなかった。
「ありがとな」