俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
鋭いまなざし。研いだ牙。回転を続ける頭脳。
……司に向けるまなざしの慈しみ。
どうすればいいのかなあ……。
藤沢なら話は聞いてくれるかもしんないけど、余計な気を使わせちゃうよなあ。
あいつほんと気が利くから……。
そして今の俺の立場は、男友達には絶対に知られたくない。
なんで俺、総真さんのライバルじゃなくて司のライバルになってんだよ……。
今のままでは、告白しても信じてもらえないだろう。
……そもそも俺、告白を考えたことあったか?
「ユーイ」
呼びかけられて顔をあげると、少し先で軽く手を振っている藤沢がいた。
少し急いで藤沢のもとへ行く。
「司はどうした? いつも一緒だろ」
「総真くんに伝えに行くって先に帰ったよ。わたしはユイのこと待ってた」
「……そっか」
……さっき打ち消したばかりの選択肢だったけど。
なんとなく、並んで歩く。
藤沢と二人で帰ったとか、明日クラスメイトから文句言われそう……。
「わたし、ずっと好きな人がいるんだ」
唐突に、藤沢がしゃべり始めた。