俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
わたしのことを知って……? 気になったけど、瞳を細めた藤沢の横顔に、それを訊き返すことは出来なかった。
藤沢の言う通り、藤沢の結婚相手は決められてしまうのかもしれない。
でも、そんな友達が学生時代に、つらそうな顔で話す恋愛してるのも、俺には哀しい……。
「――そんな、恋愛諦めてるわたしだから、ユイに告白しなよ、とかも言えないけど。だから言いに来たの」
「……なにを?」
「ユイが誰を好きになるのも自由なように、ユイが告白するもしないも自由なんだよ、って」
告白するもしないも……。俺が……。
ふと、自分の足が停まった。
二歩先を歩いて、藤沢が振り返った。「ユイ?」と。
そこで初めて、藤沢が俺に歩調を合わせていてくれたことを知った。
……司の親友はいい奴すぎる。
――藤沢に言うことじゃない。それはわかってるけど、藤沢に言いたかった。
「……フラれるってわかってても?」
藤沢は即答した。
「どっちを選ぶか、かな。フラれて傷つく方か、告白しないで後悔する方か。……友達としては、後悔してほしくないかな」