俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
傷と後悔。
「フラれるってわかってても、行動することに意味ないとは思えない」
………。
「最初っから後悔する選択肢を選んでるやつに言われてもなあ」
天を仰ぎ気味の俺の返しに、藤沢はくすっと笑った。
「説得力ないね。でも、だからわかるよ。わたしは告白しなかったことを、一生悔みながら生きていく。だから……好きじゃない人と結婚することになっても、いつまでも初恋の思い出の中に浸っていられる、って」
「……藤沢、それ、かなり哀しくないか?」
思わず真顔で言ってしまった。
告白しないからこそ……ってことか? すげー淋しい生き方に思えてしまう……。
けれど藤沢は、バカにされたとか、傷ついたような様子はなかった。
「そういう思い出がないと、たぶんわたしは生きていけないから」
……ある意味、定めとかそういうやつを、藤沢は人より多く持っているってことか……。
「……司は知ってる――……いや、なんでもない」