俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
途切れた俺の言葉に、藤沢はやっぱり苦笑してみせた。
「ユイは優しいね。みんなに優しい」
「そうか?」
みんなに優しいって……いや、委員長然としなくちゃ……と思って行動するときもあるけど。
「だから……たった一人にしか優しく出来ない人のことは、よくわからないと思うんだ」
「……まあな。正直、意味わかんねえって思ってるよ」
それって色々と問題起きねえ? とか。
「その人、彼女いるってことだよな?」
「まだいないよ。でも……もうすぐ再会するんじゃないかな……」
藤沢の横顔に、まつ毛が影をおとす。
再会ってことは、前は友達かなんかの形で知り合っていて今は離れていて、藤沢の好きな人はずっと片想いしてるってことか……。
それならフラれることがわかってる、とか、わかっちゃうよな……。
「藤沢」
呼びかけると藤沢は、軽く俺を仰いできた。
今度は、何を言われるのだろうか、みたいな、少し怯えた顔に見える。
「なに?」
「お前、めちゃくちゃいい奴だよ」