俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「……続き、今日中には話せよ?」
「……うん」
廊下から教室に戻る。
僕がうーに、素直な気持ちを言えない理由。
……話せば、なんだそんなことか、で終わるだろうことだけど、それが僕の思考回路の根幹にあることは明白だ。
――そして放課後。
僕と玲は、さっさと帰るために会長が嫌がらせのように押し付けて来た仕事を無言でさばいて(この無言、会長には圧だったみたいで、途中で「みんなもっと話そうよー!」と意味のわからないパニックを起こしていた)、先輩たちより先に片付けた。
今日は議題・案件はなかったから、会長は僕が話しかけても怯えるので副会長に了解をもらって先に帰ることができた。そして。
「羽咲ちゃんを喪うのが怖い?」
「……うん」
帰り道、並んで歩く玲に全部話すことを決めた。
「え、羽咲ちゃんかお前、病気でもあったの?」
玲は目を見開いてこっちを見てくる。
「ないよ。でも……俺を産むとき、美結、死にかけたろ?」
「……あー、それ、か……」
と、玲は何かをわかった風に視線を前に向けた。
「大事な人を死なせかけたんだから、俺、もっと想に嫌われてても普通だと思うんだよ」