俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】

「……駆け落ちとか、しようと思えば出来たのかもしれない。家族や友達を捨てて、彼女だけを欲すれば、出来たのかもしれない。でも、前の『俺』も彼女も、そうはしなかった。……そして、その別れは最悪のものになった。だから今度は、何がなんでも彼女と一緒にいる。もし彼女がほかの奴を好きだって言ったら、俺のものにするのは諦める。代わりに、一生を見守る。友達にでもなれたらいいかな……一生別れることのない、男女の友情ってやつ。俺は当然、彼女以外と結婚なんてすることはないし」

「………」

玲……。

「お前、すごいな……」

「ん? 俺のこと見直した? こんな一途な奴も珍しいだろー?」

茶化すように言った玲の肩を軽く叩く。

……見直すもなんも玲は、俺が尊敬する人がいるような場所に、ずっといるんだよ。

見下げられるわけがない。

「言ってもらってわかった。俺も、一生後悔するところだった」

「……そいつはよかった」

うーに、ちゃんと伝えよう。

怖いと思っていたことも、うーに思っていることも、全部。

――そしてその一週間、僕に怯える会長が毎日玲に突撃してきて、日に日に玲はやつれていった……。

ごめん。

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