俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
家に帰って、由羽に電話したところでひと安心してしまって、そもそもスマホを触った原因を忘れていた。
玲がメッセージ送ってきたけど無反応だったとか、うーも心配してるんじゃないか、とか……。
慌ててカバンからスマホを取り出して――
「気づいておりませんでした……」
うーからのメッセージを見た僕は、再び額を土にこすりつけた。
「いや! いやいやいや! だから土下座やめてって! 私も電話しとけばよかったね!」
うーにフォローさせてしまった……。
「あのね? 総真くん、私も落ち着いて話したいから、とりあえずベンチ座ろ?」
仏のようなうーに言われて、近くの木製のベンチに並んで腰かけた。
「……うーは怒ってたんじゃない……で、いいの?」
僕の、そもそもの誤解はそこから生じている気がする。
うーが僕に怒って手を振り払ったんじゃないか、なら僕は謝罪しなければ、と思っていたんだけど……。
うーはうつむきがちに答えてくれた。
「怒ってなんかないよ。その……ちょっと、恥ずかしいのと申し訳ないのと嬉しいのがない交ぜになって、ああなったと言いますか……」
恥ずかしくて申し訳なくて嬉しい?
僕はどんな難題をうーに突きつけたんだ?
「……これ以上すれ違うの嫌だから、言うね?」
うーは一度僕の目を見てから前方に視線を戻し、すーっと深く息を吸った。