俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
自分の頭の中でがんじがらめになって、肝心の、一番大事なうーを困らせていたんじゃ話にならない。
「うー、困らせた詫びに一発殴っていいよ」
僕が言うと、うーは焦った顔でこちらを振り向いた。
「殴らないよっ。殴ったら総真くんの顔が変わっちゃう!」
……確かに、空手の有段者のうーにガチ殴りされたら、顔カタチ変わるくらいで済むだろうか……。
いや。
「それでも俺の気が済まない。うーが殴らないなら由羽に殴ってもらう」
「もっと危ない目に遭うよ⁉ じゃあ、えっと――別の形でお詫びして!」
……正直、由羽に殴られたら僕はひん死だろうなとわかっているけれど、それくらいのバツがないといけない気がしていたんだけど……。
「……うーは、どういう詫びならゆるしてくれる?」
僕が重ねて言うと、うーは薄く口を開いて、また閉じて、視線を僕から自分の膝の上にある両手に落とした。
「……どうして、お詫びしなきゃって思うの?」
「うーを困らせたから」