俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
晃さんはまだ肩を震わせている。……怒りが収まらないのだろうか……。
「……夢みてるみたいだ……」
……夢? 悪夢か。
「由羽が那也さんと付き合いだしたときも嬉しかったけど、今は……さゆに告白した自分を思い出す。自分のときと同じくらい、嬉しい……」
うれし、い……?
「お、怒ってるんじゃないんですか……?」
「? なんで怒るんだ?」
そこでやっと、晃さんが目元を押さえていた手を離した。
目が充血している。大丈夫、か……?
「可愛い大事な娘さんと付き合うなんてゆるさん、とか……」
「ああ。ないない。そういうのは全然ない」
晃さんは、あっけらかんと手を振る。
あれ。僕の心配、どこに行った?
「お前以外なら――いや、羽咲が総真以外と付き合うなんてないから、そういうことは考えたこともないよ。むしろ、総真に振られたら、羽咲が傷心のあまり死を選ぶんじゃないかって心配だったくらいだ。だから、総真が羽咲の彼氏になってくれて嬉しい。な、さゆ」
「うんっ。晃くん、早く総真が婿にならないかなあ、って、ことあるごとに言ってたんだよ」