俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
うーが水都を追いかける。
僕は一瞬玲を振り返って――「行って」と、玲が口を動かしたから、僕も水都とうーを追う。
生徒がいなくなったあたりで、水都は足を停めた。
水都は膝に手をついて肩で息をしていて、うーが背中をさする。
「み、水都ちゃん……」
うーの声は震えている。
そうだよな、僕ら、なんも出来なかった……。
「ありがとう、羽咲ちゃんも、総真くんも。何も言わないで見守っていてくれて」
水都は膝に手を置いて視線を下げたままそう言った。
「羽咲ちゃんも総真くんも、私が何か言ったら私の味方してくれると思ったから……何も言わないで突撃出来たんだ」
「………」
うーは水都の背中をさするのをやめて、ぎゅっと抱きついた。何も言わないで。
……そうだ、水都から何をする気なのか、こちらがなんとなくわかっていても、水都から聞かされていたら僕らは何かしら手を打っていただろう。
水都はそうされたくはなかったのか……。