俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
僕らに出来たことは何も言わずに見届けるだけ。
水都が望んでいたのは何も言わずに見守ること。
……景の言った、『何もするな』に従ったわけじゃないけど……たとえ水都がそうしてほしいと思っていたとしても。
……ただ水都を泣かせる結果になったことに、無力感しかない。
僕はうーのように、水都を抱きしめようとは思えない。
僕は水都のために何かしたかったはずだ。
幼馴染の一人として。
けれど……
「なんで総真くんがそんな悲壮な顔するの。羽咲ちゃんも、泣かないで」
いつの間にか顔をあげていた水都が、苦笑混じりの声で言った。
ダメージを受けているのがまるで僕とうーであるように。
「水都――」
「お願い。何も言わないで」
言いさした僕の言葉は、その一言で殺されてしまう。
……うん、わかった。
「帰ろう、うー、水都」
本当は水都を思いっきり泣かせた方がいいのかもしれない。
思いの丈を総てぶちまけさせた方がいいのかもしれない。
でも、それを促すことすら水都は望んでいない。
……水都が、自分からそうする気にならないと。
「長かったなあ」