俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】

僕とうーにはさまれる形で歩き出した水都は、ひとりごちるように言った。

「ここまで片想いするとは思ってなかった。でも、悪いものでもないね」

水都の言葉は独り言のようであり、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。

「――水都ちゃん!」

いきなり、がっと、うーが水都の手を両手で握った。

「今日はうちに泊まっていって!」

うーの有無を言わさない迫力に、水都はうなずいた。

肯定したというより、勢いに押されただけに見える。

――という、うーが押し切る形で、藤沢の家ではなく司の家にうーと水都を送り届けた。

僕はこの前お邪魔したばかりだからあがらずに帰ることにした。

何より、今水都は、うーと二人だけに方がいいんじゃないかな、と……。

うーに、必要があったら夜中でも連絡して、と言い残して、帰路につくことにした。

水都……自分から動いたな。あの様子だと、うーが告白するよう言ったのでもないのだろう。

水都はちゃんと自分で考えて……玲に告白した。

「水都、カッコいいって」

玲の幸せと水都の幸せは、繋がっていなかった。

……今はそう思うしか、整理のつかない心をやり過ごせそうにない……。

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