俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「ううん、何回か由羽の家に行かせてもらった時に目撃した」
「……羽咲が赤ん坊の頃って俺ら二つか三つだぞ?」
「ああ、俺、胎児の頃の記憶あるタイプだから。ちびの頃の記憶はもっと簡単に引き出せるよ」
「……マジ?」
由羽がびっくり顔になった。
そういえば。だから玲って、やたら昔のこと憶えているんだった。
「うん。生まれる前もよく父さんと母さんが話す声が聞こえてて、仲いいなー、こんなところに生まれられるなんて幸せだなー、って思ってた憶えある」
「すごいな」
「実際生まれてみたら父さんの母さんへの愛情が異常でドン引きする毎日」
「「玲、ご苦労さん」」
今度は僕と由羽の声がそろった。玲は平坦な顔になっている。
尚哉さんと玲奈(れいな)さんも仲いいけど、うちや由羽の両親とは少しタイプが違うからなあ。
何と言うか、想や晃さんが負けるくらい尚哉さんの愛情が大きすぎるんだ。
「それより総真。なんで急に羽咲ちゃんがほしいとか言いだすの?」