俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「俺もよくわかんない……。とりあえず玲がべた惚れしてること以外は……」
わいわい騒ぐ玲と坂野さんから少し離れて、由羽と遠江さんとコソコソ話す。
「千波ちゃん可愛いなあ」
「わーっ! 人前でくっつかないでって言ってるでしょ!」
小柄な坂野さんを抱き込んでほおずりをしている玲を見て、ふと、由羽がつぶやいた。
「……どっかで見たことあると思ったらアレ、尚哉さんだな……」
あ、そっか。
「うん、尚哉さんの血だ……」
「誰?」
「「玲の父親」」
「………」
遠江さんに、由羽と声をそろえて返した。
遠江さんは半眼になる。
尚哉さんの愛情表現には、想も晃さんも敵わないからな……。
「ごめん那也、俺あそこまで出来ない……」
「俺も、うーにああなるのは無理だ……」
「しなくていいよ⁉ 下手したら通報されそうだよ……」
頑として坂野さんを離さない玲。玲ってこんな感じだったのか……。
初めて知った。
あと、すっごい楽しそう。
水都をふったこと、僕が怒るんじゃないかって玲は心配していたみたいだけど……こんなん見なくても怒れないよ。
「遠江さん、坂野さんに彼氏いるって聞いてなかったの?」