俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
玲が坂野さんを紹介してくれたのは、玲の中で区切りをつけるためだったのかもしれない。
水都を振った自分と、坂野さんの恋人である自分を、はっきり周りに示すために。
玲が寝不足になるほどなんて相当悩んだんだろう。
玲は他人に左右されにくいから。
それこそ、相当心の中に入ることを許している人以外には。
その上で、僕を連れて行った。
水都を振ったこと、責めたり怒ったりする気はない。
それは玲が選ぶべき答えであって、僕がとやかく言うことではないと思う。
いくら双方の幼馴染であっても、超えるべきではない線はあるはずだから。
まあ……正直、双方の幼馴染だからどちらの味方も出来ないと曖昧な自分もいることへの言いわけ感は否めないけど……。
……玲の変貌ぶりにも驚いたけど、水都の過去にも……。
由羽と別れて、歩きながら軽く天を仰ぐ。
今日は幼馴染を知る日でした。
ずっと一緒にいても、知らないこといっぱいあんだな……。
あーなんか……すっごくうーに逢いたい。
たとえば僕がうーをぎゅーってしたら、うーはどうするんだろう……。
……急に浮かんだヨコシマな妄想に自分でびっくりした。
水都に殺されるかもしれない。
……こういう風に、なんでもない日や、何かあった日を重ねて……僕らは進んでいくんだろうな。
もちろん僕は、うーの隣で。