俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
口にしたのは、僕の生い立ちを知った時から抱いていた不安。
いくら晃さんや咲雪さんが、想や美結と親しいからと言ってたずねることはできなかったけど……。
「……その可能性は否定できない、な……。でも、」
晃さんがわしゃわしゃする手を止めたから、僕は晃さんを見上げた。
「でも、そうはならなかったろ?」
「え………」
「お前も塚原も、無事生きてる。それが現実だ。なのに過去のもしもの最悪を、いつまでも悩んでてどうする。そうならなかったんだから、それは存在しない現実だ。悩むより感謝でもしとけ。お前の命を待って、それこそ命をかけて守ってくれた、想と塚原に。総真の両親に」
「………――――」
――ああ。これがうーと由羽の、父親なんだ。
……二人が優しいのが、よくわかる……。
「……はい」