俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
何かに憑かれたみたいに肩を落とした唯浜。
対して水都ちゃんは軽く笑うだけだ。
「羽咲ちゃんは、ずっと羽咲ちゃんだから」
「藤沢の心が広すぎる」
うんうん。水都ちゃんって心がキレイだよね。私のこともよーくわかってくれているし。
「あの由羽先輩とは似ても似つかねえよな」
可哀想なものを見る目の唯浜。
「お兄ちゃんと似てるとは全然言われないなあ」
実際、私とお兄ちゃんは、見た目と中身の親への似かたが真逆だって自覚もある。
更に言うとお兄ちゃん、高校では部活に入っていないけど、去年――中三までは空手部の副主将で、主将よりも強かったから結構男子からも人気あるんだよね。
去年の主将は、強さより統率力で選ばれたらしいから。
お兄ちゃんは部長とか面倒でむしろ喜んで受け入れていたけど。なんだったら副主将も面倒くさがっていた。