俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】

そこは、外壁や看板に蔦を這わせて、テラス席も木陰になっている、森の中の一軒家みたいなカフェだ。

お母さんと一緒に来たことはあるけど、店内もおしゃれでゆったり落ち着いていて、私には大人すぎる世界観だったのを覚えている。

お母さんにはぴったりだった。

私を先頭に、そっと扉を押した。

ちりんちりん、と鈴の音がして、同時に店内の穏やかなメロディーが聞こえて来た。

「いらっしゃいませ。来てくれてありがとう、うー、水都」

「………」

――それは私の視界と思考回路を停止させるには十分過ぎる衝撃だった。

「総真くんっ? なにしてるの?」

眼福に硬直した私に代わって、水都ちゃんが訊ねてくれた。

「バイトです。うー、最近特に勉強頑張ってるから、たまにはゆっくりしてもらおうと思って呼んだんだ。今日はこのあと勉強もするけど、まずは休息をね。あれ? そっちの子は?」

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