雨の日はそばにいて抱きしめて
初めて会った日から
気がつけば毎日メールのやり取りをしていた
暇な時はいつでも電話がかかってきたし
毎週のように会っていた
もちろん好きになるのなんて
あっという間で
いつから好きだったのか
宙の『好きだ』に絆されたのか
私の気持ちは宙でいっぱいだった
私の初めては全て宙と・・・
手を繋いだのも、見つめ合うのも
“好きだ”と言われるのも
宙に好きだと言ったのも
彼氏が出来たのも
部屋へ行くことも
キスも、その先も・・・
初めては全部宙とだった
少しずつ気持ちを重ねて
宙と一緒にいることが
当たり前になっていた
宙は幼稚園から大学まである桐葉学園に通っていて
実は同い年の高等部三年生
そして・・・第三高等学校
第三って実は就職組が進む高等部
桐葉に入ると基本的には第一高等学校へと進む
てか・・・第二はどこへ行った?
中心部にあるS女と違って
桐葉学園はその規模からか少し離れた郊外に広大な敷地を保有していて
その為のスクールバスは路線バスより便数が多いくらい
しかし、第三高等学校だけは
そこから更に電車で二駅離れた所に建っている
宙は元々の勉強嫌いもあって
迷わず第三へと進んだそうだ
「大学が全てじゃないだろ?」
そう胸を張って言う宙が
なんとなく大学まで進む自分と違って
カッコよく見えていた
付き合い始めて三ヶ月経った夏休みには
金髪を黒髪に戻した宙
結局最後まで教えて貰えなかった進路を
この頃には決めていたんだと思う
そして・・・
高校三年の夏休みが終わる頃から
宙と私の間に微妙なズレが生じ始めた