雨の日はそばにいて抱きしめて
雲行き
翌日の本社は
鳴り続ける電話の対応に追われていた
もちろんその内容は
シルバーアクセサリーの次回入荷日
出社早々にWEB広告も削除して
完売のお知らせに変更したけれど
HPも繋がりにくい状況らしい
女の子達のネットワークは凄まじくて
更にはシルバー好きの男の子達も巻き込んで
昨日のうちにSNSで瞬く間に拡散されてしまったようだ
「「あ゛〜仕事になんないっ」」
外線が最初に繋がるのが総務課
そこが塞がると他の課が鳴り始めるのだけれど
そもそも外線が8回線しかないから
総務課だけで事足りてしまう
「総務課、可哀想〜」
全く感情の入らない同情を向ける絢音に
コラッと言うとバツの悪い顔をした
「営業さん、追加お願いできたかな〜」
少し背伸びして視線を営業の島へ向けると
低めのパーテーションの向こう側は
慌ただしい動きだけ見える
「数量限定なんでしょ?」
諦めムードの私
「でも残り30日何も無しじゃ
流石にダメでしょ〜?」
勿論そうなんだけど・・・
そもそも[作者非公表]だから
きっと個人工房とかでコツコツ作っている程度のものに違いない
それなのに増産って・・・
断られるだけならまだしも
もう二度とカリーナへは卸しません!
なんて言われた時には目も当てられない
麻人が企画書を持っていたくらいだから
一課の取引だろうか?
視線を向けた先の営業さんは
皆んな電話を片手に忙しそうにしていた